Cosmy Lab.

物を作るひと、何かを描いて書いて編んで捏ねる人

しろくてつめたいもの

私がここ一年半ほど好きで触っている素材は石粉粘土。
石粉粘土は白くて、初めはややかたい。水を加えて捏ねると、するするとやわらかくなる。形を作っているといっぱい手について、手もちょびっと白くなる。

 

成形して乾燥させるあいだ、私は時々その未完成の作品を待ちきれずに手に取ってしまう。
それは表面がなんともすべらかで柔らかくつるつるとしていて、そして冷たい。表面は触っても何事もないくらいには乾いているのだけれど、奥の方に残っている水分がすこしずつすこしずつ出ていくので、ひんやりしていて、しっとりと重い。
とくに机にくっついていた面はとろっとしたような感触で、静かな午後の部屋、電気を点けないでカーテンの向こうの陽の光を見ている時のような気持ちがする。その感覚が気持ちよくて、何度も何度も触ってしまう。
その部分をなでるときの音は多分「きよきよきよ」が似合っている。すんっと冷たい感じと触るとクリームみたいに滑らかな感じが伝わると思う。
時々、爪なんかで触ってしまって乾きかけのその表面に取り返しのつかない窪みを生み出してしまって後悔するのだけれど…。

 

完全に乾いてしまうとそれは明快にかさっとしていて、そして軽くなったようだ。
濡れているときよりももっともっと明確にまっしろで、凹凸の影が濃く見える。
なんだか何かの骨みたいな、なんとも素直な触り心地で気分がいい。軽くて心許ないのに、しっかりと硬い。
彫刻刀で削ると、さり、かり、しゃり、と耳にくすぐったい音がする。